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元ファンドマネージャーによるFP向けコラム!Jリートのスポンサー【FPコラム】/(Vol.1051 2021/7/21)


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            「Jリートのスポンサー」

            (執筆者:梶井 広行 )


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皆さんお元気ですか、株メンターです。

当連載で、Jリートにとって非常に大切なことをまだお伝えしていませんでした。

第38回の今回は「Jリートのスポンサー」についてです。リートのことを知ろう
とするとき、スポンサーについて知ることは必要不可欠です。
ただ、リートとスポンサーのリアルな関係など、本当に知りたいことは分かり
づらいのですが、・・・



【スポンサーとは】

スポンサーとはリートの設立母体のことです。具体的には、大手不動産会社、
不動産を多く保有する会社(鉄道会社など)、不動産の開発・運用に積極的な
会社(住宅会社、総合商社、生保など)また金融機関(銀行、証券会社)など
です。これらの大手企業が、物件を集めてリートを上場させる例が日本では
多いです。また複数の企業が共同でスポンサーに連なることも少なくありません。


リートは、実際にはそれらスポンサー企業の意向を強く受けることも多く、
従ってリートの経営を考える際、スポンサーのリートに対する意向を汲み取り
つつ考えることができれば、リートをより深く理解できるようになります。



【スポンサーの役割】

スポンサーはリートにとって非常に重要です。スポンサーの役割として最も大切
なのは、物件の提供です。コロナ以前の不動産市況は値上がりが続き、優良不動産
を安く買う機会に乏しくリート各社は皆優良物件の調達に苦慮していました。
そんな時、自社で保有する物件をリートに提供できるスポンサーは、リートに
とって非常に有難い存在です。市中では見つからないような優良割安物件も、
スポンサーの協力があれば取得できるからです。


また、情報提供や人材提供の点でもスポンサーはリートにとって重要な役割を
果たします。
さらに金融危機等の局面では、スポンサーのネームがリートの信用力の後ろ盾と
なります。世界の金融環境が非常に厳しくなったリーマンショック時などは、
破たんするスポンサーも相当数に上り、スポンサーの信用力がダイレクトに
投資口価格を左右しました。



【スポンサーにとってのJリート】

逆にスポンサーにとっては、リートを設立することにどんな意味があるのでしょ
うか。

グループ企業内にリートがあれば、保有物件を売却したい時に有力な買い手と
なって機能してくれます。決算上、資金や利益がさらに欲しいような時に物件
売却の相談もできるリートのような存在は、スポンサーにとって重要です。


さらに不動産開発事業を行うスポンサーなら、リートのような確実な買い手が
グループ内にいれば、中長期の成長ビジョンが円滑・かつ計画的に見込める点で
経営の安定につながります。



【スポンサーとの関係】

本来スポンサーはリートの設立母体であり、必ずリートに対しサポーティブな
関係を維持してくれると期待しがちですが、実際その関係は微妙なこともあり
ます。

例えばスポンサーがリートに物件を売る際などは、利害が対立することになる
からです。リートがスポンサーから物件を取得する際、価格面では外部鑑定士
の評価価格と大きな差異が生じないように価格決定に際し公平性の配慮がなさ
れていますが、そもそもリートが欲しい優良物件というより、スポンサーが
手放したい物件を買わされているようなケースも散見されるからです。

また、物件の提供を期待し続けたにも関わらずスポンサーがその役目を果たせず
成長戦略に行き詰まり、結局他のリートに買収してもらうことを選択したリート
が過去実際にありました。

スポンサーは、リートの設立時に役割を果たすだけでなく、上場後も物件提供等
のサポートを続け、リートを育て続ける覚悟を持つべきです。質の低い保有物件
をまとめて売りたいためにリートを上場させ、上場後は放ったらかし、のような
行動は、Jリート市場の健全な発展のため、厳に慎んで頂きたいと思います。

リートはスポンサーの道具ではありません。上場企業のスポンサーに株主がいる
ように、リートも上場し異なる投資主が存在します。万が一スポンサーがリート
に不利な行動をすれば、リートの投資主が黙っていません。

リートの成長を促し互いに助け合う健全な関係を築くことを、設立母体、
スポンサーに強く期待します。



――――――――――――――――――――――――――――――――――――
<執筆者紹介>


梶井 広行 (かじい ひろゆき)

信頼できる株・運用の相談相手「株メンター」

三菱UFJ国際投信 元ファンドマネージャー、
日本証券アナリスト協会検定会員

三菱UFJ国際投信、三菱UFJ信託銀行等にて日本株、Jリートのファンドマネージャー、
アナリストとして、機関投資家の年金・投信運用に延べ30年弱 携わる。
特に2007年以降、三菱UFJ国際投信にてJリート1000億超ファンドの責任者として
2017年まで10年間運用を担当し、複数の以下アワードを連続受賞。
 ・モーニングスターアワード2014 最優秀ファンド賞
 ・モーニングスターアワード2012、2013 優秀ファンド賞
 ・R&Iファンド大賞 2012~2015 優秀ファンド賞受賞
  (以上、国内REIT型 部門)
2017年末 三菱UFJ国際投信 退職。
2018年 信頼できる株・運用の相談相手「株メンター」として
投資教育業、コンサルティング業を創業。




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